〇 自分の見方を画像で伝える |
写真の撮影のように、一瞬でものをとらえる行為には、案外その人らしさや感じ方が現れるものである。それぞれがとらえた画像を見比べてみると、微妙な感じ方の違いを視覚的に知ることができ、自分だけでは気づかなかったところもわかるようになる。
撮影する側も自分の気に入った角度や部分を選び、それを効果的に表す活動を繰り返し行うことで、ものを深くみようとする意識が働くようになると考える。 |
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Yさんの場合 |
Gさんの場合 |
Nさんの場合 |
作
品
1
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ここから見ると、どっしりと安定しているように感じる。 |
腕のようなものが、何かをしようとしているように見えた。 |
たくさんの足を使って、動いているようだ。 |
作
品
2 |
生き物の表情が、とてもユニークで楽しく感じた。 |
正面から見ると全体の様子がよくわかると思った。 |
斜め下から見上げると、走っていくように感じた。 |
○ 開発教材の検証 |
この題材を大学院生と図工担当教員に検証してもらったので、そのときの感想と作品を幾つか紹介する。
○ これまでの授業では、時間をかけて鑑賞し合うことがほとんどなかった。この方法では自分がうまく作れなかった作品も違った角度から鑑賞することができ、パソコンの画像処理によって新たな作品に生まれ変わるので、美術の苦手な子どもにとって大変効果的であると思った。
○ つくった生き物を置く場所を考えることで鑑賞が具体的なものになりやすく、それがコンピュータを使うことによってさらに明確になった題材である。
○ 豊かな自然素材、自由な背景の選択、コンピュータの特性などが効果的に組み合わされた題材で、だれがやっても画一的でない創造的な作品づくりへと発展できる。
○ 使用したソフトウェアは機能が絞られていたので、操作方法に煩わされず「鑑賞」と「表現」の活動に専念することができた。実際の材料を使うことと、電子の筆を使うバランスがとれた題材である。
○ コンピュータの機能だけを用いた作品づくりではなく、自らの手で作った作品を用いることができるという点がよい。頭の中にすばらしい世界が思い描かれていても、それを実現できない生徒にとっても有効であると感じた。
○ 歩いて多神社に出かけて身近な素材を手に入れ、最後にコンピュータを使って完成させた一連の活動が印象的であった。
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水洗い場を泳ぐもの |
自動販売機の前で並ぶもの |
空の雲と戯れるもの |
下水道の中を悠々と泳ぐもの |